高齢者の自動車事故率は年を追って減少している

高齢者の自動車事故率は年を追って減少している  2006/12/2
12月1日の朝日新聞の記事「増える高齢者ドライバーの事故」もそうだが、警察や、メディアも含め、相変わらず高齢者の自動車事故が激増していると言っているが、これは高齢者の運転者数が増えているからであって、間違った認識である。日本の公式統計データを探しても見つからないが、不思議なことに、WHOの資料には日本の状況を分析したデータが報告されている。残念ながら2002年までのデータではあるが、それによると、Fig.1のグラフに見るように、2002年度のデータでは確かに65歳から75歳の区分では、事故率の高い24歳までの若年層に比べてわずかに事故率多い。しかし、自動車先進国を見ると何れも高齢者は事故率が少ない。このグラフでは、韓国は高齢者の事故率が極端に高いがこれもやがて日本と同様、西欧型に変わってくると思われる。
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そこで、日本の自動車事故の過去の変遷を見てみる。WHOが現在と同じ統計を取り始めた1995年から2002年までのデータをグラフにして見るとFig.2の様である。これで分かることは、確実に高齢者の事故率は年を追って減少している、まもなく欧米型になるであろう。
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このデータは自動車が関与した道路交通事故の年齢区分による件数であり、高齢運転者が起こした事故に限ったものではないと思われる。日本の場合、事故率の減少しない年齢層25-34歳と高齢者層の事故率の年次減少率をを直線回帰で単純に将来予測をしてみると、Fig.3のように、2009年ごろ入れ替わって高齢者の方が安全層となる。
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アメリカのNHTSA(国立統計分析センター)では自動車事故の詳細な分析をしていて、運転者の年齢区分別事故率は、65から74の高齢者が一番安全運転者層であることを示している。Fig.4、Fig.5。
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イギリスでは運転免許は終身免許であったのを、最近一定期間の更新制にしようとの話を聞いたことがあるが、イギリスの道路事情はよくないにも関わらず、現在、世界で一番事故率の少ない国である。このことは、統計的に見た場合、高齢者の運動機能の衰えが直接転事故に繋がるのではない証拠であろう。通常の道路における運転は、スポーツ走行ではなく、クリティカルな運転技能を要するようでは、自動車交通の先進国と云えない。
統計データに基づかない非科学的な道路行政は、効果が出ないばかりか運転者にストレスをかけるだけと思う。
間違った根拠により義務付けられている高齢者教習ではあるが、教習指導員が、各種医療従事者のように、公認された学校で、科学的・医学的な教育を受け、公的資格をとった者により行われる教習ならば有意義であろう。
WHOのURL http://www3.who.int/whosis/mort/table1_process.cfm の表より

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この記事へのコメント

oda
2012年01月04日 03:05
これらは「交通事故死者数」の統計ですから、高齢者側が一方的に加害者となる場合(歩行者などを轢き殺した場合)がカウントされてませんね。
spaceglow
2012年01月04日 10:29
oda さん
コメントありがとうございました。
ご指摘の通りこのデータベースは一般の事故率を表したものです。
2011年9月29日に書いたブログ
http://spaceglow.at.webry.info/201109/article_2.html
タイトル「損害保険業界の証拠不明の理由による値上げ談合」に、自動車交通安全センターのデータベースを用いて事故の責任の重い(第一当事者になった)運転者の年齢別統計分析を試みてみました。
結果は、東京でも北海道でも高齢者が重大責任事故当事者になる割合は他の年齢層と殆ど変わりません。
何かの間違いかと思われるかもしれませんが、これは、実社会の交通状態での交通事故災害の状況について分析したものです。東京と北海道と云う非常に交通条件の違う場合でも、高齢運転者が現実の交通社会での自動車運転実態では、他の年齢層に比べて際立って加害者になっていないということです。
高齢者を他の運転者と同じ条件(仮想実験)で比べれば欠陥が見えてくるのは当たり前です。しかし、実際の交通状況では、一般に高齢者は短距離、昼間、気象条件の良い時、主に生活に必要なだけの運転をしているという結果がこの事実を示していると云えます。
御意見をお聞かせください。
oda
2012年01月04日 18:09
高齢者が事故率が高いと主張してるわけではありませんよ。

惜しむべきは (高齢者の第一当事者数÷高齢者の正味運転者総数) の統計が未だ存在しないという点です。
つまり「年齢別の運転者数」を考慮しなければなりません。
運転者が多い年齢層はそれだけ全体の割合を占めます。
人口でも免許保有者数でもなく「正味運転者数」なので別途調査が必要ですね。
oda さん
2012年01月04日 23:12
このブログでは分母を年齢別人口としていますが、ご指摘の矛盾を除くために先のご返事に書いたように、2011年9月29日のブログでは自動車安全センターのデータベースを用いた分析を投稿しています。 
http://spaceglow.at.webry.info/201109/article_2.html
ここで、私の使ったデータは運転免許保持者が、免許更新時の過去直近5年間と、次年度の事故詳細記録です。
分母に用いた年齢層別免許保有者数にはペーパードライバーも含まれているため、日常運転している(正味運転者?)の正確な情報では無いのではとのご指摘もあろうかと思います。
免許保有者の中でのペーパードライバーの比率は国土交通省の調査があり、
「平成17年度全国都市交通の特性調査の結果によると、免許をを保有する人のうち、実際に運転している人の割合は高齢者において高い」との結論になっています。その状況は添付されているグラフで見ることができます、どの年齢でも運転率は70~80%程度です。
ブログタイトル「国土交通省の交通需要の解析結果と警察庁の高齢者運転認識の違い」 2009/04/27
http://spaceglow.at.webry.info/200904/article_20.html
この結果から、分母を年齢層別免許保持者数としても年齢層別相対事故率の分布の大勢には変わりがないことを確認しての話です。
ご面倒ですがこれをご覧いただければと思います。
また http://spaceglow.at.webry.info/201002/article_8.html 2010/2/22
では、もう少し詳しく分析しています。合わせてご覧いただければ幸いです。 
間違をお気づきになりましたらご指摘ください。


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